半月を経て、我慢出来ずに孫に買ったことを教えてしまった。
特急の運転が覚束ないままだったけど、大阪環状線に誘導すれば押し切れると、踏んだんだ。狙いは良かった。コントローラーに興奮している孫息子は初運転に緊張しつつ、素直に僕の指示に従う。僕の補助を受けてでも操作がしたいのだ。停車には細心の注意を払い定着と定位置を狙う。その難しさがわかるから、助けを乞うが、覚えようとしているのがわかる。
息子は手に負えないのを知っているから代わろうとしない、膝に乗る孫の「爺ちゃんすごい」って反応に、2週間の姑息な練習が報われる。
ああ大人気ないさ。
孫娘もやってきて、無理やり操作を始めるが、もちろんすぐにゲームオーバーだ。でも、大して悔しそうでもない。二駅ほど運転したら、飽きたようで、孫息子と再び交代する。
せがまれて、東京の特急に挑戦する、通過駅の合わせ方に、特急を停める難しさ。頼られる心地よさ。「爺ちゃん」を連呼される心地よさ。
終着駅まで着いて、孫が言う。
「これ、電車好きな人やったら、めっちゃ面白いやろな」
『お前と俺』やん!と、買った甲斐にほくそ笑む。