昼過ぎに息子家族が来た。奈良の工房に鞄を見に行くって？鞄に何故、僕達が誘われる？
ランドセルだった。
誰の？下の孫は、まだ年中さんだぞ。
ああ、そうなの。コロナ対策もあって、予約制の鞄工房には他の家族も来ていて、少し幼い。
この４月の新一年生のため、と、思うのは我々世代だけらしく、パンフには2023年と書かれていた。一年以上も前に用意するような高級品なの？
あ。
高級品だった。
孫息子の時に来た工房じゃないか。
あの時は奈良を出た後に江坂や梅田に行ったなぁ、今日はどうなのかな？
「この後、3軒くらい回るつもりか？」
息子は首を振りながら言う。
「いや、そんなに行ったらしんどいよ。あと２軒だけ」
くら寿司で隣に座る孫娘に、気に入ったお店を尋ねると、「最初のとこ」と、即答だ。
安くはないけど、職人が作るランドセルだ。
僕が買うって話は、とっくに妻と義娘の間では決まってるんだろうな。僕の仕事鞄の数倍はする高級品なのになー
「ジイちゃんが可愛いって言った方にするわ」
「もう〜ジイちゃんが買ったげるから、好きなの選び!」