齢90を超える母を連れて、造幣局の桜の通り抜けに行ってきた。巷に咲き誇っていたソメイヨシノが葉桜に変わる4月の半に毎年催されている、大阪の風物詩だ。
例年と違い、事前予約制となっているためか、沿道の桜を愛でる余裕がある。
平野撫子、関山、蘭蘭、覚えきれない品種の桜が沿道に立ち並び、満開の花を魅せる。
思い想いに写真を撮るスペースがあるのが嬉しい。商店街を行くが如くになって以来、遠のいていた通り抜けが愛おしくなってくる。
須磨浦ナントカって、淡い緑に濃い桜色の瞳を持つ華やかでない美しさに立ちすくめたのも嬉しい。母の車椅子を押しながら、数十年前の思い出を語りながら歩く。
きっと、当たり前ではないだろう手間と費用をかけてくれる造幣局に感謝する。
足の悪い母のために、迎えの車が正門に着くまで、車椅子を融通してくれた、警備員さんの対応にも花の心地よさを感じた。