全てを包み込むような心の人、の話じゃない。
通勤途中の大阪メトロで見かけた大きな人。169cmの僕の横に乗り込んできた彼の肩は扉に映る僕の頭より高いところにある。真横の彼の顔をチラ見しようと首を傾げたのにアゴまでしか見えない。扉のガラスには首から上は映っていない。
僕の左前にいた青年は、ヒョロリと背が高いように思えたけれど、頭上に伸びた太い腕が、吊り輪がさがっている鉄棒を掴んでるのに驚いたろう。
少なくとも2m前後に見える。
ただ、満員電車に不慣れなように見えて、鉄棒を力一杯に掴んでいるのは、よろけて誰かの足を踏むのを警戒しているのかも知れない。
大きさは、それだけで驚異だ。
優しげな巨人に朝から変な感動を覚えてしまった。
優しくない巨人は、ただの脅威だ。大きな国の小さな人に教えてあげたい。優しい巨人は英雄にでもなれるのに。