うちで作るテビチは美味い。小学1年性だった二男が大好きで、沖縄で「テビチそば」を注文するくらい、我が家では定番の一つだった。「だった」のだ。いや、作らなくなったのではなく、作れなくなってしまった。
初めて、妻と二人でテビチに挑戦した時に、固い豚毛を焼いて鍋に入れ、茹で上がった豚足を煮込んで完成と思ったら、一口で胸焼けするほど脂っぽい。食べ残したテビチは翌日、真っ白にラードで覆われていた。下茹でが不十分で脂が抜けていなかったんだ。
再挑戦した僕らは茹でて冷ましてを繰り返し、ラードを抜いていく。焼きそばを何人前焼けるんだ?と、いう量の脂を取り出す。そして、味付けした豚足はテビチになった。美味しかったが、忙しい時には作れない。
ところが、近所の肉屋さんで下茹で済みの豚足を売っていた。大将に話を聞くと、県人の多い大正区のスーパーにも卸しているから、毛を焼いて下茹でまでしとくほうが喜ばれんだと語っている。そりゃそうだ、コレを買えば、あとは煮込むだけ。当然、うちも購入し、我が家の定番料理になったんだ。
その肉屋さんが廃業した。子供さんはジャパンに入るほどのラガーだったが、後を継ぐことはなく、大将は体力の限界でシャッターを下ろした。
もう下茹でしていない豚足には戻れない。