忘れ物

「財布、定期、時計、ハンカチ、イヤホン」って、ルーティンの呼び掛けをした妻がキーを掴む。
今夜は飲み会があるので、妻が駅まで車で送ってくれた。
ありがとうと、ドアを閉め歩き出した途端に、財布と定期券を持っていない事に気付いた。走り出す車を、映画さながらに追いかけ車を停める。
訝しがる妻の横に乗り込み、忘れ物を告げると、ルーティンの妻の言葉に相槌を打つように返事していたのがバレる。

家に戻るまで、怒られた。

2往復目が始まると、すぐに「シーサーの工房に行くのに予約とか要らんのかな?」と、問いかけてみた。

駅までの間に、怒られる事はなかった。

父が死んだのは65歳だった。

沖縄の慰霊の日だと、今朝のニュースで知った。親父の弟、つまり僕の叔父さんの名前も慰霊の碑に刻んである。まだ20代だったのに本島を襲う砲撃で命を奪われたと聞く。
子どもの頃から聞いていた叔父さんは、親父の弟で親父と一緒に歳を重ねていた。
沖縄戦で亡くなったのだから、中年にすらなれなかったのに。

父は戦争で何度も命を落としかけた、銃殺の丸太に括られた事もあったらしい。奇跡のような偶然を何度も頂き、長らえた命で今日の僕がいる。

僕も定年を過ぎ、再雇用を経て歳をとった。
不思議な事に、僕の記憶の親父は時折好々爺になっている。齢100歳を数え、さすがに昔の恰幅はない。
子供の頃を思うと、元気な頃の父の姿だけれど、その姿の父の年齢はとうに追い越している。もう数年もせずに、亡くなった歳に追いつく。

僕は、何を残そう。

家電省ってワロタ

車で1時間もかからない所に旅行です。
信楽を経て選んだホテルは嵐山、バリアフリーを最優先にした結果、なぜか滋賀県から大阪に近寄ってしまいました。
近場に泊まる違和感。
違和感を無くすおもてなし。

91の母が段差を気にせずに済む部屋。
人目が気にならない貸切り風呂。
食べやすさを気にかけてくれる配膳係。

さすが京都のお宿と、日本一の観光地であった事を思い出す。
素敵なお宿でした花伝抄ですが、家電省と出た時はワロタ。確かにテレビもドライヤーも良かったけど。

陶芸体験なら臥翠窯

五古窯の、ひとつ信楽。
91の母を連れての陶芸体験。
嗚呼、楽しい。
ウチは土を自分とこで作ってますから、と言う言葉に甘えて、妻は大作を完成。
僕のぐい呑みと同じ焼成代というのは、いささか驚くも、作品を仕上げるという点で納得。
むしろ、妻の大作も同じでいいんですか?

僕は酒器を3点作り、それぞれに魚紋を書いて、自称「信楽やちむん」完成。

先生の心配りも有り難く、土いじりの楽しさを堪能しました、が、なぜか信楽にいてつぶやいた。
「沖縄に行きたい」

火曜日は雨が多いらしい

妻は火曜日に出かける。
自転車で50分の距離にあるヨガに通ってる。
雨だと車だ。
運動を兼ねて自転車で行きたがる妻の気持ちはわからなくもないが、僕にはできない。

ところが、この一年、思うように自転車で行けていないらしい。
火曜日は雨が多い!と怒っている。
車を出して、近所のスーパーで買い物をして帰る。結構な荷物だ。
晴れていても、ルーティンは変わらない。

今日は雨だ。
彼女は怒ってるけど、安心した。
あの買い物の量を積んで走る方が、数倍危険だもの。

GWのBBQは数年ぶり

予報では広がるはずの雨雲が、晴れ女のパワーか日頃の行いの良さか、過ぎるほどの晴天に恵まれ、かつては恒例となっていたGWのBBQを、気のおけない仲間二人とこじんまりと復活させた。

ああ楽しい。
いつもより上等なお肉の甘い脂肪が胃にもたれるようになったけれど、釜を持ち込み炊くご飯。
肉厚のイカの一夜干し。
抜いたばかりの玉ネギを使ったスープとリンゴと鶏をミルフィーユのようにした蒸し焼き。
レモンとオレンジを浮かべたウォーターボトルはお洒落で、肉の後口をさっぱりさせる。
大人だけで過ごす非日常。

スーパー銭湯に繰り出す日常も秀逸な土曜。
ストレスを溜めるスペースが空いた事だし、次をを心待ちにして働こう。