ひとりでは何もできなかった。なのに、いつのまにかグループのリーダーになっているような子供だった。クラスの決め事があれば、特に何も発言しないのに何故か決定となる最後の一票役が回ってくる。特に発言しないのは、熟考しているのではなく何も考えていないからだ。回ってくるまで何も考えていないから発言もせずに直感で回答するのだが、それで雌雄を決する事になっても何故か文句を言われた覚えがない。
ミニ物語2
【王が産まれた日】
南の島で老婆が突然叫ぶ。「やっとぅあらわりてぃん」だが、その声を聞くものは誰もない、寂れた集落の外れだった。数十年前に神女と呼ばれたが、今は独り暮らしの老人に過ぎない。
再び眼を閉じ老婆は深い眠りにつく。
ふと目が覚めて
旅の夜中に風が哭く