義父が逝った日

一週間前に義父がこの世を去った。

5月に尿路感染による発熱でひと月ほど入院してから、瞬く間に身体は衰退した。
元々、スポーツマンで90歳を迎えても自転車に乗れた身体は自力で歩けないほど弱ってしまった。
車椅子に乗ってからは、色々なものに対する意欲を失ったようで、自分から発言する事が目立って少なくなった。だんだんと食欲も無くし、筋肉質だった足も痩せ細り、ベットに横たわる時間が増えてきた。

そんな時に、施設で発生したクラスターに巻き込まれて、さらに半月の入院を余儀なくされてからは自力で身体を起こす事も、食事を摂取する事すら出来なくなってしまった。
陰性となり施設に戻ったけれど、生命力が一気に失われたのは誰の目にも明らかだった。

数日のうちに父は逝った。
救いは、少しも苦しむ事なく、安らかな最期だった事だ。遠方に居る義兄も間に合った、孫もひ孫も間に合った、親しい親戚も間に合った。人の望みは叶うんだ、望めば叶うんだと感じてしまった。計りようもない程、徳を積んだ義父だからなのか。

お通夜、お葬式、初七日。淡々と済ませていく。父は解放された。
もう身体は痛まない。
また、歩ける、走れる。
父は、もう自由だ。

自宅療養で分かった事

僕は引き篭もれる体質だったんだ。

Amazon primeでアニメを数十話分見た。奈良を中心とした仏像の世界は見入ってしまった。石原さとみに今更ながら惚れた。

どうぶつの森でFF7を目指した街づくりをした。迷路と迷宮の世界観は再現出来ない。

時々、仕事に活かせる記事や書籍にも目を通したけれど、体調が悪くなりそうで5分ともたない。

疲れたら寝た。

思い出した。20年前に命懸けの手術をした時も、何も無い病室で退屈しなかった。
いや、何もなくは無い、差し入れの小説に漫画、エロ本、BEGIN、三線、工工四。
動き回って、手術跡から血が噴き出したっけ。懐かしい。

ブログを書き動画を編集し、布団の中心で愛を叫ぶ日も今日で終わりかな。
指示された行動制限は今日まで。

不味いもので太りたくない

名言だと思う。
では、美味いものなら肥るのもやむを得ないのか?
答えはNOである。
例外はあるものの、美味いものは得てして高カロリーだと感じてしまう。

カリッとした衣を纏うトンカツの肉厚でありながら歯茎に負担をかけない柔らかさ。
食べた分だけ罪悪感の薄れるキャベツには、ヘルメスウスターソースにマヨネーズを和えると罪の意識はほぼ0にできる。
辛すぎず煮込まれたカレーはご飯にかける事によって糖と脂が打ち寄せる。
アルデンテに茹でられたスパゲティは蟹クリームと絡まって旨さが喉を滑り落ちる。
手羽元には、じっくり火を通し、BBQで有名になったほりにしで味付け。
溢れ出た肉汁で角切りにした山芋をソテー。
全部を食べた訳じゃない。

不味いもので太りたくない。
美味しいものを太るまで食べたくない。
食べたくないのに、今日も食べ過ぎる。

病状は安定したと感じています

酸素飽和度は98-99で、安定しています。
発熱した翌日の陽性判明を受けた日が95%だったので、かなり安心する。反面、発熱してしんどかった日は、コロナと分からない状態で、もっと低かったんだと思うと怖い。

発熱した日に最も高い体温が38.4°だったけれど、簡易測定だと39°でた瞬間もあった。
片腎の怖さから、翌日、発熱外来を受検できるよう調べまくった。

昨日から、熱は36°台半ばをキープし、酸素飽和度も前述の通り。
まだ、軽く咳き込んだりするけれど、後は、感染力の強いウイルスが消滅するのを待つばかり。寝て食べて、体力と免疫力を回復させていく。

五日間、6畳一間の自宅療養。
基礎疾患のある高齢者でも、受診時に元気だと入院できない二類疾患。
もちろん、要望すれば、コロナ病棟を有する病院に入院できたかも知れないけれど、歩いて通院できた僕には思いつかなかった。

退職して、通勤がなくなって、安心した頃に罹患するとは、ありがちで残念。

二類や五類なんて考えた事無かった

陽性と診断されて「入院」って浮かんだ。
だけど発熱外来でみた景色は、淡々と判定を受け、薬を処方され、会計を行っていく。
健康保険の切り替え時だったために、実額13500円を支払った。
会計の前に、看護師さんから手渡されたのは「自宅待機SOS」パンフ。
ホテル療養の希望は聞いてくれるようだけれど、この病院にはコロナ病棟はないんだろう。
妻の運転する車の窓を全開にして家に帰る。
実は2日前から寝室も別にしているけれど、彼女も感染していないか心配だ。

コロナ関連のニュースが、これまでと違う鮮明さを持って響いてくる。
全国知事会の話を聞いた時だった。
「コロナは五類とすべきではないか」
現在の二類は結核などと同じカテゴリーで命の危険を伴う感染病。五類は季節性のインフルエンザと同じで、適正な薬を服用すれば、命の危険は無いレベル。

幾人かの知事が同旨の発言をしたせいで、他のニュースでも取り上げていた。

自宅の一室でテレビを見ている僕は、二類の新型コロナに感染している。
TV画面では入院と書いてある二類の病気だ。

腎臓が一つしか無い僕は、発熱が怖い。
肥満の身体のどこが襲われるのか怖い。
妻には、救急車を躊躇わないようお願いした。怖くても自宅で安静にしている。

発熱外来は緊迫していた

待合の椅子は全て外向き。
喉の赤みをチェックしたら、すぐに鼻の奥をグリグリ検査。これは抗原検査?PCR?
待合で再び待たされた後に、告げられたのは「ん〜む、これ++で陽性ですね」
耳を疑ったけど、理解できるまで数秒間。

妖精になった!なんて、ピーターパンみたいなネタを思いつくくらいには落ち着いていた。

入院?と、思っていたけど、「大阪府自宅待機SOS」って、パンフを渡された。
ホテルの療養を希望したり、パルスオキシメーターの配送なども頼めるらしい。
体調変化を感じた場合は病院に連絡するようだ。
テレビで得た知識が、現実の事として実践される。

重症化しないように祈ろっと。